京都市内でも北西部に位置する嵯峨野は、修学旅行のスポットとしてもおなじみですが、ここは特に京都の中でも異次元的な魅力を持つスポットです。
ひとたび足を踏み入れると、侘び寂びの空間に引き込まれてしまうのです。
今回は、そんな「侘び寂びの異次元・嵯峨野」と題しまして、私自身何度も足を運んでしまうお気に入りのスポットであります嵯峨野をご紹介致します。
阪急嵐山線の終着駅である嵐山駅で下車して渡月橋へと赴くと、山々をバックに抱く桂川に出会います。
桂川の両岸には、京土産のお店に混ざって、有名芸能人のプロデュースした飲食店やアイドルグッズのお店など、観光地ならではの賑わいを見せています。
桂川にかかる渡月橋は、そんな観光地の賑わいから「今から侘び寂びの異世界へ入ります」という誘いを感じさせる、まさに「ここから別の場所」をつなぐ橋です。
百人一首の編纂舞台でおなじみの小倉山をはじめとした山々と桂川のコントラストは、嵯峨野の中心地であるにもかかわらず、既に古都の面影を鮮明に映し出しています。
さて、渡月橋を渡り、お店の賑わいの対面には天竜寺があります。
室町時代初期に建立され、枯山水の見事な庭を持つ大きな禅寺ですが、この天竜寺を裏へ抜けるところから「侘び寂びの異次元」は始まります。
勿論、表から通りに沿って嵯峨野を探索することも可能ですが、ここは「裏から」というのがポイントです。
その異次元への目印は、竹やぶです。
ここから先は、表通りよりも細い道になっているように感じますが、実際は人力車も行き来できるほどの道幅です。
それほど、天高く伸びた無数の竹に囲まれた空間ですので、なにやら結界めいたものを感じるのです。
さながら、竹の中の一つから、かぐや姫が現れそうな幻想空間です。また、外界にいるにもかかわらず、喧騒とは無縁なのほどの静寂があります。
竹やぶの道を進むと、ひっそりと野宮神社があります。
このような空間にある神社ですので、まさに「霊験あらたか」というところでしょう。縁結びの神社として若い女性からの人気を集めています。
そのまま竹やぶを進んでいくと、やがて広大な畑のひなびた光景に出ます。
小さな庵の落柿舎や、更に奥には平家物語の伝説としても名高い祇王寺があり、終点は化野の念仏寺です。
この「化野」は「あだしの」と読みますが、その名からもこの嵯峨野という一帯が異次元的要素を含んだように感じられます。
ひっそりとした神社や庵が点在することからもわかるように、嵯峨野は都の中心地から離れた隠棲地にふさわしい場所であったと言えます。
古い時代からの隠れスポットであり、俗世との次元を異なるものとしてのロマンでもあったかもしれません。
特に、竹やぶはそんな嵯峨野の異次元ぶりを体感するにはふさわしい場所です。
ファンタジーがお好きな方は勿論、たまにはミステリアスな雰囲気も味わってみたいと思う方にも、日常を忘れてみたい方にも、どなたにも味わっていただけるスポット「侘び寂びの異次元・嵯峨野」はいかがでしょうか。
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